「気管支喘息」カテゴリーアーカイブ

乳幼児の喘鳴のタイプは4種類に分けられる

赤ちゃんは気管支が元々狭く、風邪をひいても喘息のようにゼェゼェすることがあります。また、乳幼児は肺機能検査ができないので、喘息の診断は難しくなっています。今回はそんな乳幼児期のゼェゼェ(喘鳴)を認める期間でグループ分けをした報告です。

東京のとある病院で2003〜2005年に産まれた赤ちゃんを13歳まで調査した報告です。9歳まで毎年、喘鳴についてのアンケートをとった結果、1116人の赤ちゃんの9歳までに認めた喘鳴は4つのタイプに分類できるとのことです。(下図はクリックすると拡大します。)

①は喘鳴を認めなかったグループで43.7%いました。逆に言うと、56%の赤ちゃんは9歳までに喘鳴を認めます。

その経過は4グループにわけることができ、9歳時点でも喘鳴を認めるのは9.2%であったとのことです。しかし、赤ちゃんがゼェゼェしている時点では赤ちゃんの時期だけなのか、ずーと続くのかの判断は困難です。両親に喘息の方がいたり、その赤ちゃんがアトピー性皮膚炎であったり、血液検査でアレルギー細胞が多い・ダニが陽性などがあれば治療を長くしないといけないかなとは思いますが、それも100%ではないので・・・今の治療が本当に必要かということを受診していただく度に考えないといけないです。

(pediatr Allergy Immunol. 2018;29:606-611.)

 

妊婦さんの喘息状況が産まれてきた子供の喘息発症に与える影響

妊婦さんを対象に、①症状のみで薬剤を調整する方法と、②症状と検査結果(吐いた息の中で喘息で増える成分を測定)から薬剤を調整する方法のどちらが優れているかの臨床試験が2011年に実施されました。結果は②の方法で薬剤を調整したほうが喘息発作が少なくできました。

今回はその後の報告です。その妊婦さんから産まれてきた子供の喘鳴や喘息の発症を調べた臨床試験が発表されました。

緑の棒グラフで表された、②の方法で治療した妊婦さんから産まれてきた子供達が喘息の症状や喘息の発症が少ない結果となりました。つまり、喘息発作の少なかった妊婦さんから出生した子供のほうが喘息の発症や喘鳴が少なかったいう考え方ができます。

妊娠すると、赤ちゃんへの薬の影響を心配し、治療が中断してしまうことがあります。現在は、妊婦さんが喘息発作を起こした際の悪影響が胎児に大きいことから、きちんと治療をすることが推奨されていますが、喘息の発症にまで影響する可能性があることが示唆されました。

JACI. 2018;142(6):1765-17

吸入指導-DPI編-

吸入指導で以前、スプレータイプのpMDIpMDI+スペーサーの記事をアップしました。今回は、自分でお薬の粉を吸い込むタイプのDPIをまとめます。(吸入の写真は「メカニズムから見る吸入デバイスのピットフォール 日経メディカル」より転載してます)

以前も掲載したことですが、吸入薬には大きく2つの種類があります。略語ですが、pMDIDPIです。pMDIはスプレーのイメージです。ボンベを押すとシュッと霧状・ミスト状の薬剤が出てきます。DPIは粉の薬剤を自分の吸い上げる力で吸い上げて吸入します。それぞれ特色があり、使い分けがあります。年齢という観点から使い分けた例が下の図です。

乳児から幼児はスペーサーをつけたpMDI、幼児から学童期に入る頃にDPIへ、そして、高齢になり、吸入する力が落ちてきたらpMDI±スペーサーというのを示しています。

今回はDPIです。ボンベを押すと薬が出てくるpMDIと違い、DPI製剤は種類によって吸入前の薬剤のセットの仕方が異なります。1回分の薬剤をセッティングしないといけないのですね。主に使用されているタービュヘイラーとエリプタ(いずれも吸入薬の製品名ではなく吸入器自体の名称)について触れます。タービュヘイラーは吸入薬ではシムビコートやパルミコート、エリプタは吸入薬ではレルベアですね。

では、吸入前の薬剤のセットのやり方を比較してみましょう。

吸入器にはあと何回吸入できるかを示す数字が表示されています。薬剤が入っていない状況で吸入しないようまずは残量を確認します。(写真は「メカニズムから見る吸入デバイスのピットフォール 日経メディカル」より転載)

次に1回分の薬剤をセットします。2つの吸入器はこのセットの仕方が異なります。

エリプタ:カバーを開けるだけで自動的に1回分がセットされます。ここで注意すべきは、カチッと音がするまでしっかりとカバーを開けるようにします。

タービュヘイラー:赤いグリップを右へ止まるまで回し、止まったら、左にカチッと音がするまで戻します。ここで大切なのはこの一連の動作を吸入器を垂直に立てた状態で行うことと、回す方向を間違えないことです。理由は下の図のようなタービュヘイラーの構造にあります。タービュヘイラーの吸入器の薬剤は薬剤貯蔵部に固められています。赤いグリップを右に回すことで薬剤貯留皿に薬剤貯蔵部から薬剤が落ちてくる、次に左に回して吸い込み口に薬剤を持ってくるのです。ですから、斜めや真横にして赤いグリップを回すと薬剤貯留皿に薬剤がきちんと落ちてこない、逆に回すと薬剤を吸い込み口に持ってこれないのです。この点がタービュヘイラーで1番多い間違いだと感じています。

1回分の薬剤のセットが済んだら、それを吸入するわけですが、その前の注意点は吸入器の持ち方です。吸入するということは薬剤とともに空気も吸い込むので、吸入器には空気の入り口があります。吸入器を持つ時に空気の入り口を塞いではいけません。

タービュヘイラーは上下に空気の入り口があるので注意して下さい。正しい持ち方の例です。(写真は「メカニズムから見る吸入デバイスのピットフォール 日経メディカル」より転載)

両吸入器とも吸入の時は水平にしてますね。タービュヘイラーは吸入器下部の赤いグリップを持つのが特徴的ですね。

いよいよ、実際に薬剤を吸い込みます。pMDIはゆっくり深呼吸をするように吸入するのでしたが、DPIは違います!早く、力強く吸入します。おおよそ30L/分の息を吸うスピードが必要です。30L/分??とは実感しにくいですね。長いストローでジュースを吸い上げたり、麺をすするイメージです。医療機関には吸入薬と同じ形をした笛があります。息を吸うスピードがおおよそ30L/分になるとピーっと音が鳴ります。音が鳴ると吸入できていそうだと感じることができます。

息を吸うスピードが30L/分になるタイミングもあります。

上の図は少しわかりにくいですが・・・上のグラフは吸入器から放出された薬剤量です。下のグラフは吸入器を加えて吸い込む勢いのスピードです。上のグラフから薬剤の放出は吸入を開始してから0.4秒、そう一瞬で終了してます。吸入開始時から力強く吸入することが大切です。

吸入しましたらpMDI同様に息止めが必要となります。そして、うがいですね。

では、毎日の吸入を頑張って行きましょう!

嵐による喘息発作の流行

アレルギー性鼻炎が喘息に悪影響を及ぼすことは以前触れました。アレルギー性鼻炎のスライドだったと思います。それは鼻炎の影響や、鼻閉による口呼吸でPM2.5などが直接肺に入ってくる影響でした。花粉そのものは肺の中には通常入りにくいのです。それは大きさです。肺の奥に入るためには5μmより小さくないといけません。花粉はスギ花粉で30μmあるのです。しかし、今回、花粉が直接肺に入り、重症の喘息発作を流行させた報告があります。

嵐の影響で、花粉が壊れ、中の小さなアレルギー物質が放出され雨とともに降り注ぐのです。8500人以上の花粉症のある人が喘息発作を起こしたのです。しかも9人が亡くなっています。

嵐が来て雨が降り始めて最初の30分間が多くの花粉成分が降り注ぐそうです。決まった季節に雨が降るとゼェゼェする方には、その季節の花粉の抗体を調べるのも考慮されるかもしれません。

吸入指導ーpMDI+スペーサー編ー

前回はpMDIであるスプレータイプの吸入薬を吸入の仕方を説明しました。このpMDIには吸入の同期という難しい一面があります。押すという動作と吸うという動作をほぼ同時に行わないといけません。2つの動作を同時にというのはなかなか難しいです。特に乳幼児や高齢者、脳血管障害や麻痺を持っている患者様にとっては、この吸入の同期ができないことが多く、吸入療法を導入・継続する壁となります。その壁を乗り越える手段がスペーサーです。下のように筒のような構造です。これは小児アレルギー学会が3つのスペーサーを推奨していますが、その1つのエアロチャンバーです。年齢により3種類あります。5歳〜高齢者用のマスク付きとくわえるマウスピースタイプを並べています。右側の写真が吸入器の差込口になります。

では、実際に吸入器をスペーサーにつけてみます。

スペーサーの中に薬剤を噴霧して一旦貯めるので、吸入器を押した瞬間に、“慌てて吸う”必要はありません。

模範例の動画です。環境再生保全機構提供のもので成人の例です。

この動画の中にもありましたが、吸い方が“ゆっくり深く1回吸う”と“スペーサーをくわえたまま数回普通の呼吸をする”の2種類がありました。このことについて触れます。

吸入器から噴出された薬剤の何%が肺にちゃんと入るかを比較した結果です。“ゆっくり深く1回吸う” vs. “スペーサーをくわえたまま数回普通の呼吸をする”で比較します。

“ゆっくり深く1回吸う”のほうが肺にきちんと入る薬剤の量は多いことを示す結果です。そう、1回、ゆっくり大きく吸うことができる方はそうしたほうがいいです。しかし、乳幼児や高齢者、認知症や脳血管障害がある方の中には“ゆっくり深く1回吸う”ことができない方もいらっしゃいます。その場合は吸入器をくわえたまま、またはマスクを顔に押し当てたまま普通の呼吸を5回程度してもらえばいいと思います。スペーサーを使わなかったときの薬剤の分布が下の表です。pMDIをスペーサーなしでも上手に吸入できると思われる11〜14歳では薬剤の54%が肺内に入っていることになりますが、これは5回呼吸をしてもらった結果の上のグラフの11〜17歳と同等です。

                                       (ERJ 2003; 21: 1007–1011)

ですから、吸入のために大きな吸気ができない方は普通に呼吸をしてもらっているところにスペーサーのマスクを押し当てるなりマウスピースをくわえてもらえばいいのではないでしょうか。赤ちゃんは寝ている時がよさそうですね。

もうひとつスペーサーのお得情報としては口の中や喉への薬剤の沈着が少なくなることです。スペーサーを使わず吸入器から直接吸入すると40-60%薬剤が口や喉に残りますが、スペーサーを使うとそれが10〜25%に減少します。

このように吸入器から噴出される薬剤の粒の大きさはマチマチです。小さな粒子は肺まで吸い込まれますが、大きな粒子は口の中や喉に残ります。薬剤を一旦スペーサーの中で噴出すると大きな粒子はそのままスペーサーの壁にくっついて、小さな粒子だけが口の中に吸い込まれていくのです。

吸入器を押すことと、吸い込む動作が同時にできない場合はスペーサーをご検討ください!