ピーナッツ・ナッツアレルギー

ピーナッツはマメ目マメ科で、ナッツ類は木の実:アーモンド-バラ科、カシューナッツ・ピスタチオ-ウルシ科、クルミ・ペカンナッツ-クルミ科、マカダミアナッツ-ヤマモガシ科です。

分類上はピーナッツとナッツ類は異なりますが、ピーナッツアレルギーの25〜50%でナッツアレルギーがあるとされています。

ピーナッツは特定原材料の7品目に、クルミ、カシューナッツが特定原材料の表示推奨になっています。

日本ではピーナッツとナッツ類はアナフィラキシーの原因食物のベスト5です。重篤な症状になりやすく注意が必要です。ナッツ類ではクルミ、カシューナッツ、アーモンドの頻度が高いです。ピーナッツは成人でも半分の患者さんで3mg(ピーナッツ1/50個!)で症状を認めた報告があるので、誤食に注意です。また、誤食の回数が多いほうが重篤な症状が多くなります。

2相性の症状にも注意が必要で、一旦症状が軽快しても数時間後に再燃することがあるので、4時間以上の経過観察は必要です。

診断においては血液検査でピーナッツの抗体が陽性でも実際に症状がない人も多くいます。その際には皮膚での検査やピーナッツの中でも特定の成分(Ara h 2)に対する抗体を測定し、より検査精度を高めます。それでもはっきりしない時に負荷試験を行うかどうか検討します。

自然治癒率はピーナッツアレルギーで20%、ナッツアレルギーで9%と低率で、症状も重篤になりやすいのでエピペンの適応があります。

ピーナッツ・ナッツ類はカレールーやチョコレートなどの菓子類、ドレッシングなどに使用されおり、見た目でもわかりにくいことがあります。

 

喘息発作時のみの治療は✕(ダメ!)ー短期的展望から

「喘息は突然ぜぇぜぇして、息が苦しくなる病気」というのは有名なことだと思います。しかし、症状がなくても毎日吸入しないといけないことは、小学校の先生方対象の勉強会のアンケートでもまだ浸透していないようでした。食物アレルギーの対応に追われ、喘息のことは忘れがちなのかなぁとも思います。医師の学会である小児アレルギー学会でも喘息を抜いて、食物アレルギーの発表が一番多くなりました。

喘息は気管支が狭くなり、ぜぇぜぇと息が苦しくなります、それもいつもではなく、突然やってきます。原因は沢山あります。

こういう発作のとき、吸入薬を使用すると改善するのは皆様ご存知のことと思います。

これは何をしているかというと、気管支を拡張させています。いわゆる気管支拡張薬です。即効性がありますが、効果は一時的です。吸入をすると喘息児は楽になります。ぜぇぜぇも無くなるかもしれません。「あー、よかった・・・」と思っていいでしょうか。この時、気にかけて聞いて欲しいことがあります。「ちゃんと他の吸入は毎日しているの?」と。

喘息は慢性炎症がその根底にあります。「炎症」というのは皮膚で言うなら、虫に刺されて赤くなり、腫れた状態です。アトピー性皮膚炎の皮膚では赤くなり、少し盛り上がっています。

気管支の粘膜がむくむ、気管支の周囲の筋肉が収縮し気管支が細くなる、汁(痰)が出てきて気管支の内腔を塞いでしまう→息がしにくくなり苦しいのです。たしかに気管支を拡げてあげると楽になります。しかし、炎症は続いています。気管支拡張薬のみでの治療は結局は喘息死への危険をはらんでいます。

上記のグラフのように、気管支拡張薬だけを連用して発作をごまかしているといつかは大変なことになります。国内・海外でもこの発作用の気管支拡張薬連用と喘息死との関連が報じられており、国内外のガイドラインでは炎症を抑える治療をせずに、気管支拡張薬だけを使う治療はしないよう言われています。

炎症を抑える治療にはステロイド薬の吸入またはアレルギー物質をブロックする内服薬がありますが、抗炎症効果はステロイド吸入薬が強力です。

喘息死の減少には発作時の気管支拡張薬のみの治療の見直し、喘息の本態である炎症を沈静化する吸入ステロイドの普及が寄与しています。

次回は長期的展望から炎症を抑える喘息治療の必要性をまとめてみたいと思います。

計算してみました・・・食パン編

先週は当院で食物アレルギーを始めた大家の先生の外来の見学をさせていただきました。多くのことを勉強させていただきましたが、食パンの話になったときに、銘柄別に含有されている牛乳の量をmg単位で説明していたのは「さすがだ」と思いました。

私もやってみました。


とあるメーカーの食パン一枚あたり

牛乳タンパク質:177mg、鶏卵タンパク質:145mg、小麦タンパク質:6190mg です。

ちなみにアレルギーを起こすのはタンパク質です。糖や脂質などは一般的にはアレルギーを起こしません。ですから、食材のタンパク質の量で考えていきます。

牛乳:牛乳1mlあたり約33 mgの牛乳タンパク質が含まれています。するとこの食パン1枚あたりには177(mg)÷33(mg/ml)=5.4mlの牛乳が含まれていることになります。牛乳10mlを飲める子はこの食パンは食べることができそうです。

鶏卵:卵1個には6273mgのタンパク質が含まれています。この食パン1枚あたりには145(mg)÷6273(mg/個)=0.023個の鶏卵が含まれていることになります。卵1/50個分が含まれており、揚げ物の衣(卵約1/8個分)やハンバーグのつなぎの卵(卵約1/4個分)が食べることができる子はこの食パン1枚は食べることができそうです。お菓子になると、商品や食べる個数によって個別対応が必要です。

小麦:パンは麺類と比較すると小麦タンパク質が多く含まれています。食パン1枚とうどん1玉(200g)が大体同等の小麦タンパク質量です。あるうどんは1玉(200g)に5200mgの小麦タンパク質を含みますが、この食パンは6190mgの小麦タンパク質を含むので、そのうどん1玉より小麦タンパク質が多いことになります。ですから、うどん1玉を食べることができるようになった小麦アレルギーの児でも食パン1枚では症状が出る可能性はあります。

3大食物アレルギー食材から考えて見ました。なかなかお母さんは大変なことがわかります。しかし、このような計算は大体でいいのではないかと個人的には思います。なぜなら、アレルギーが起こる量は同じ児の中でも状態によって変化するからです。疲れていたり、運動したり、痛み止めを飲んだりするといつもより少ない量を食べても症状が起こります。重症の子以外は、症状が出現したときの対応を事前にしっかりしていれば、食べられる範囲を大体で食べていけばよいのではないかと思います。

余談ですが、牛乳100mlは飲める牛乳アレルギーの子が某社のソフトクリームを1個食べたあとに、全身蕁麻疹で受診しました。その会社のホームページにソフトクリームの成分表があり、タンパク質4.2gと書いてありました。ソフトクリームですから牛乳タンパク質が多く占めているものと思われます。そうしますと、このソフトクリーム1個は牛乳に換算すると4200(mg)÷33(mg/ml)=127mlです。この子はギリギリ牛乳100mlはセーフだったことがわかります。

*この記事では加熱や副材料による食材のアレルギーを起こす力の変化には言及しませんでした。またの機会にしたいと思います。

治療継続のためには周囲のフォローが必要

年末よりついに英会話を始めました。きっかけは米国で開催されている国際アレルギー学会の講演動画がインターネット上で毎年販売されていることを知ったからです。でも、受験英語の延長なので、読み書きはまだいいですが、話す聴くはできません!講演動画を見ても、スライドの文字でほんの一部しか理解できませんでした。英語の勉強自体はもう何度挫折したことか・・・いつも1ヶ月続くかどうかでした。

でも、この学会の動画はどうしても理解できるようになりたい、これが理解できるかどうかで今後の自分の診療の質が変わると思い、英会話を始めました。中々通うのは難しいのでテレビ電話でしてもらってます。週1回、時間はたった30分です。

しかし、これがとても大切でした。レッスンがあることで英語の勉強をする動機づけになってます。つじつまをなんとかあわせるような状況もありますが、これからもやっていけそうです。

治療においても継続は難しいです。症状がないのに、毎日吸入をする、湿疹がないのに毎日スキンケアをする・・・数字で見たのが下の画像です。喘息で吸入治療を始めても3ヶ月後には半分の方が吸入治療を自己中断しています。

薬剤を処方して、医療側の役割は終わりなのでしょうか。治療の内容によっては校内・園内で吸入・内服・軟膏塗布が必要なこともあります。それは本人任せでいいのか。これだけインターネット・デバイスが発達したのだから、メールやアプリでの介入はできないのか。多くの素晴らしい治療薬が開発されてきましたが、未だに多くの子が喘息の小発作をよく起こす、肌がカサカサしている・赤みがある、鼻水をズルズルしている・・・まだ多くの課題が残されています。

学校の昼休みにシャワー浴をする・しないでアトピー性皮膚炎の児童の症状がどうなったのかを検討した国内の報告です。症状スコアは点数が高いほうが症状が悪いことを意味します。シャワー浴開始2週後よりシャワー浴をした群での皮膚症状が改善しています。シャワーは大変かと思いますが、ちょっとした介入で症状が今よりも改善することは期待できます。

 

多職種が協力して、アレルギー疾患の子を見ていくことが必要かと思います。

公衆での禁煙と小児の入院率

2006年5月にスコットランドでは公衆の場での禁煙の法律が施行されました。それに関連してこの研究ではスコットランドの15歳以下の喘息の入院数を2000年から2009年まで解析してます。

結果は下のグラフのとおりです。小児の喘息入院は禁煙法施行前は年平均4.4%増加傾向でしたが、禁煙法施行後は年平均19.5%の減少に転じています。画像はクリックすると拡大します。

法律施行前には家庭内での喫煙が増加することが危惧されましたが、逆に家庭でも自主的に禁煙する方向になったそうです。

また小児の喫煙率の低下も認めました。13歳男児:5%→3%、13歳女児:7%→4% (2004年と2007年を比較)

この法律制定が直接的に影響したのか、間接的に影響したのかの判断は難しいですが、喘息発作による入院に対してはいい結果をもたらした可能性は十分にあると思います。

 

            N Engl J Med 2010;363:1139-45.より