魚アレルギー

魚アレルギーは小児においてはベスト5には入ってきませんが、成人においては第3位です。複数の魚にアレルギー症状を呈するのが一般的で、67%で複数の魚にアレルギーがあると報告されています。甲殻類同様こちらも自然に治ることはあまり期待できません。魚アレルギーの方が10年後に治っているのは20%であったという報告があります。

魚のアレルギーの原因となるタンパク質の代表は筋肉に多く含まれるパルブアルブミンです。熱には比較的安定ですが、水に溶ける性質があります。複数の魚でアレルギーとなり得るのは魚種間で形が似ているからです。見た目からはどの魚でアレルギーが起こるか判断できません。例えば青魚でアレルギーが出やすいとは言えません。最終的には食べてみないとわかりません。血液検査は陰性でもアレルギーが出る方もいれば、逆に抗体検査が陽性でも食べることができる方がいます。

魚アレルギーの方に最初に試す食品としてはカツオ節や煮干しなどの出汁となります。発酵の過程でパルブアルブミンなどのタンパク質が分解を受けているからです。次がマグロの缶詰です。高温・高圧処理によりタンパク質が変性し、食べられることがあります。またマグロはパルブアルブミンの含有量が少ない魚種です。段階を踏んで、食べることができる調理法や魚種を選んでいくことが必要です。

アレルギーがある魚は基本的に除去となりますが、栄養の面からはビタミンDと多価不飽和脂肪酸が不足する可能性があります。ビタミンDの代替食として卵黄、干し椎茸、きくらげを積極的に摂取するよう意識します。

ただ、魚を食べてアレルギー症状が出た場合は魚に対するアレルギーとともに、次の2つを考えないといけません。

①ヒスタミン中毒:ヒスタミンはアレルギー症状を起こす物質です。アレルギーの食品を摂取すると、体内に蓄積されたヒスタミンが放出され、アレルギー症状となります。このヒスタミンが菌によって魚肉の中で産生されます。ヒスタミンを多く含む魚肉を摂取するとアレルギーと同じ症状が起こります。白身魚より赤身魚でヒスタミンは多く産生されやすく、鮮度が落ちた魚に注意が必要です。

②アニサキスアレルギー

魚(特にサバ、タラ、イカ)に寄生しており、よく胃痛の原因となります。アレルギーの原因ともなり、魚を摂取してアレルギーが起こったときには、魚だけでなく、アニサキスも調べることが必要です。抗体を検査します。中高年に多いのですが、魚アレルギーよりも頻度は多いです。

甲殻類(エビ・カニ)アレルギー

小学生の新規発症の食物アレルギーの1位は甲殻類です。エビ・カニは特定原材料に指定されているので、加工食品には表示義務があります。

アレルギーの原因となるタンパク質は筋肉タンパク質であるトロポミオシンです。熱に強いので加熱してもアレルギー症状を誘発する力は低下しないと考えるのが一般的です。甲殻類アレルギーは自然に改善することをあまり期待できません。また、食べてからアレルギー症状がでることもあれば、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因食物でもあります。エビを食べて、2時間以内に運動するとアナフィラキシーに至るといったタイプの食物アレルギーの特殊型です。

トロポミオシンの形はエビとカニで似ているので、エビアレルギーがあるとカニを摂取して65%の方がアレルギー症状が起こります。しかし、軟体類のイカを摂取してアレルギー症状が起こるのは17.5%と低くなります。

エビに対する抗体が陽性でも実際にアレルギー症状を呈するのは20%以下です。逆にアレルギー症状を実際に認めても、エビに対する抗体が陰性の方が20%いらっしゃいます。血液検査の解釈も一筋縄にはいきません。

アナフィラキシーに至る例も多く、報告によっては60%以上と言われます。エビアレルギーの約80%でエビせんべいは摂取できたと報告もありますが、注意が必要です。

またダニやゴキブリにもトロポミオシンがあり、これらの抗体により抗体検査でエビやカニの抗体も陽性となってしまうことがあります(交差抗原性)。

 

真菌(カビ)の喘息への影響

喘息の人の10%前後でカビに対する抗体があり、ダニのようにアレルギーがあると言われています。そして、カビに対してアレルギーがあると喘息が重症化します。

というのが、私の知識でした。ですから、喘息の方を診察して、血液検査で抗体をチェックする際にはダニやネコ、スギなどと一緒にカビの抗体もチェックしていました。

しかし!先日ある論文が発表され、大変興味深く読みました。それはカビが多い環境にいると

①ダニに対するアレルギー反応を大きくする

②通常のアレルギー反応(好酸球性)ではない、ステロイドの効きにくいアレルギー反応を誘導する。

この2点からステロイドの治療が効きにくくなるとのことでした。カビに対するアレルギーがなくても、カビを吸入するだけで喘息のコントロールが悪化する可能性があるとのことでした。今は新しい薬が次々に登場しますが、環境整備はやはり大事なんだと思いました。

真菌(カビ)は高湿を好むため、室内の風通しをよくして、なるべく乾燥させる(相対湿度≦50%)ことが大切です。またカビは日光にも弱いので浴室や台所の小物は時々日に当てたほうがいいです。エアコンのフィルターや掃除機のダストパックも定期的に掃除しましょう。真菌は50〜60℃、10分程度の温熱で死滅するので、台所のふきんやタオルは時々煮沸消毒することが望ましい。観葉植物もあまり置かないようにしましょう。

          J Allergy Clin Immunol. 2017;139:54-65.より

アレルギー性鼻炎スライド 初版

アレルギー性鼻炎 ver. 1 (クリックしてください)

成人対象の勉強会で使用する予定の「アレルギー性鼻炎」のスライドを添付します。講演会用なのでアニメーションを使ったり、説明文が不足してますので何かありましたら、お問い合わせいただきますようお願いします。もちろん、間違いがありましたらご指摘いただきますようお願いします。

アレルギー性鼻炎は命の危険があるわけでもないし、大したアレルギーではないと思われがちな疾患です。

しかし、症状による経済的な損失は喘息や糖尿病、うつ病よりも大きいものとの報告があります。小児にとっては学習の大きな障害になっています。

他の疾患との関連では喘息の発症・発作を起こしやすくします。また、口腔アレルギー症候群という花粉症に由来する食物アレルギーの発症に関与します。花粉皮膚炎というまぶたを中心とした皮膚炎も起こします。

本スライド作成において、参考になった書籍も紹介させていただきます。

小児の成人との違いから日常生活上の注意事項までわかりやすく、かつ詳しく載っています。もっと深く勉強したい方にはお薦めです(画像をクリックするとamazonにジャンプします)。